「わっ」
背中に膜のようなものがぶつかる感覚があった。跳ね返りそうになる私の身体をイザナミは強引に膜に押しつけ、スポンッとまるでお産のように大量の水とセットで外界に出る。
その勢いで宙に投げ出された私の身体は、ゴツゴツとした固い地面に打ちつけられた。
「いったーっ」
背中が鈍い痛みに襲われて、私はすぐに動けなかった。転がった状態で周囲に視線を巡らせると、天井も壁も床も湿った岩でできている。
「ここは……」
痛みが引いてから上半身を起こすと、私は見覚えのある岩の道にいた。見覚えがあるといっても私がではない、イザナミの記憶の中で見たのだ。
「よ、黄泉の国?」
私はやっぱり、沼に落ちて死んでしまったのだろうか。全身の血がサッと頭から足元に落ちる気がして、眩暈に襲われる。
「どうしよう……」
その場から動けずにいると甲冑のようなものを身に着けた男が現れる。
武士のような出で立ちの彼は東部に矢が刺さっており、顔の半分が焼けただれていてミイラのようだ。
「新入りだな。共食の間に案内する」
私は戸惑いながらも立ち上がり、こちらに背を向けて歩き出そうとする男の背に「あの!」と声をかけた。
「私は本当に死んでしまったんでしょうか? その……自覚がなくて……」
「自覚がない者は多い。突然、不慮の事故で亡くなった者は皆そうなる。お前は死んだのだ。それはこの地に――黄泉の国にいることがなによりの証明だ」
説明は終わりだ、とばかりに男は歩き出した。私はどうしたらいいのかわからず、そのあとをトボトボとついていく。
背中に膜のようなものがぶつかる感覚があった。跳ね返りそうになる私の身体をイザナミは強引に膜に押しつけ、スポンッとまるでお産のように大量の水とセットで外界に出る。
その勢いで宙に投げ出された私の身体は、ゴツゴツとした固い地面に打ちつけられた。
「いったーっ」
背中が鈍い痛みに襲われて、私はすぐに動けなかった。転がった状態で周囲に視線を巡らせると、天井も壁も床も湿った岩でできている。
「ここは……」
痛みが引いてから上半身を起こすと、私は見覚えのある岩の道にいた。見覚えがあるといっても私がではない、イザナミの記憶の中で見たのだ。
「よ、黄泉の国?」
私はやっぱり、沼に落ちて死んでしまったのだろうか。全身の血がサッと頭から足元に落ちる気がして、眩暈に襲われる。
「どうしよう……」
その場から動けずにいると甲冑のようなものを身に着けた男が現れる。
武士のような出で立ちの彼は東部に矢が刺さっており、顔の半分が焼けただれていてミイラのようだ。
「新入りだな。共食の間に案内する」
私は戸惑いながらも立ち上がり、こちらに背を向けて歩き出そうとする男の背に「あの!」と声をかけた。
「私は本当に死んでしまったんでしょうか? その……自覚がなくて……」
「自覚がない者は多い。突然、不慮の事故で亡くなった者は皆そうなる。お前は死んだのだ。それはこの地に――黄泉の国にいることがなによりの証明だ」
説明は終わりだ、とばかりに男は歩き出した。私はどうしたらいいのかわからず、そのあとをトボトボとついていく。