「診療所は明日にならねえとやってないから、今日は市販薬で乗り切るしかねえな。買ってくるから、少し寝てろ」


 那岐さんはバタバタと用意をして、家を出ていく。だだっ広い居間に残された私は天井を見上げて、その木目をぼんやり眺めた。

 ああいう木目って、顔に見えてくるから気持ち悪いんだよね。

 ぼんやりとしてまとまらない思考の中でそんなしょうもないことを考えていたとき、天井のすべての木目がじわじわと私の真っ正面に集まるように渦を巻きだした。


「……っ、あ……?」

 な、なに?

 そう言おうとしたのに声が出ない。それどころか、身体も金縛りにあったかのように指先ひとつ動かず、冷や汗が背中を伝う。
 木目は次第に髪の長い女性の顔を象り、浮き彫りになって私に近づいてくる。

 ――怖いっ。

 本能で命の危険を感じ、目尻から涙がこぼれたとき、声が頭に響く。