「じゃ、俺が運ぶね」
「兄さんは引っ込んでて、俺がやる。早く髪乾かせば」
珍しく自分から手伝いを申し出た陽太くんは、私がトレイに載せた二皿の卵焼きを運ぶ。
なんだかんだ、お兄さんが好きなんだな。
温かい気持ちで見守っていると陽太くんが本木さんの前にめんたい卵焼きを置き、時枝さんの分は手に持ったまま説明を始める。
「絶対に死者に出された食事は食べないで。あと、料理は一時間以内に食べ終えること。もし破れば、きみも呼び出された死者も永遠にこの喫茶店に囚われることになるよ」
「わ、わかりました……」
「じゃあ、覚悟して」
淡々と注意事項を述べた陽太くんが卵焼きを空席の前に置いた途端、そこにはスーツ姿の時枝さんが現れる。
「本当に……時枝、なのか?」
「本木、先輩……?」
ふたりは状況を飲み込めないのか、黙ったまま見つめあう。そこから感動の再会に涙するかと思いきや、時枝さんは作った勢いよく立ち上がった。
「兄さんは引っ込んでて、俺がやる。早く髪乾かせば」
珍しく自分から手伝いを申し出た陽太くんは、私がトレイに載せた二皿の卵焼きを運ぶ。
なんだかんだ、お兄さんが好きなんだな。
温かい気持ちで見守っていると陽太くんが本木さんの前にめんたい卵焼きを置き、時枝さんの分は手に持ったまま説明を始める。
「絶対に死者に出された食事は食べないで。あと、料理は一時間以内に食べ終えること。もし破れば、きみも呼び出された死者も永遠にこの喫茶店に囚われることになるよ」
「わ、わかりました……」
「じゃあ、覚悟して」
淡々と注意事項を述べた陽太くんが卵焼きを空席の前に置いた途端、そこにはスーツ姿の時枝さんが現れる。
「本当に……時枝、なのか?」
「本木、先輩……?」
ふたりは状況を飲み込めないのか、黙ったまま見つめあう。そこから感動の再会に涙するかと思いきや、時枝さんは作った勢いよく立ち上がった。