ほとんど毎日のように、私でない私の夢を見る。
『お願いだから追いかけてこないで』
冷たい岩の前にいる私は、何度もそう誰かに叫んでいた。
なぜかはわからない。でも、知られたくないという気持ちが胸の内に広がっていく。
一枚の岩を隔てた先にいる誰か。その人を大切に思っていたはずなのに、今はいちばん恐ろしくてたまらない。
こうやって夢と現実、ふたりの私の感情が溶け合い、どちらのものなのか判断がつかなくなる。
やがて、私は岩の向こうにいる誰かに背を向けた。目の前に続く真っ暗闇の道を進んでいると、背後から自分を呼ぶ声がする。それが愛しくもあり、耳を塞ぎたいほど悲しくもあった。
聞こえないふりをして、引き返したくなる足を無理やり進めた私は目的地にたどり着く。けれど、ここから先の記憶が曖昧だ。
ただわかるのは失望と裏切りへのとてつもない絶望感。身を切り裂かれるような痛みとともに自分が狂っていく感覚。それらを味わって、この苦しみから逃れたいという一心で目覚めると、私は自分に問いかける。
「私は本当に、伊澄灯(いすみ あかり)なの?」
『お願いだから追いかけてこないで』
冷たい岩の前にいる私は、何度もそう誰かに叫んでいた。
なぜかはわからない。でも、知られたくないという気持ちが胸の内に広がっていく。
一枚の岩を隔てた先にいる誰か。その人を大切に思っていたはずなのに、今はいちばん恐ろしくてたまらない。
こうやって夢と現実、ふたりの私の感情が溶け合い、どちらのものなのか判断がつかなくなる。
やがて、私は岩の向こうにいる誰かに背を向けた。目の前に続く真っ暗闇の道を進んでいると、背後から自分を呼ぶ声がする。それが愛しくもあり、耳を塞ぎたいほど悲しくもあった。
聞こえないふりをして、引き返したくなる足を無理やり進めた私は目的地にたどり着く。けれど、ここから先の記憶が曖昧だ。
ただわかるのは失望と裏切りへのとてつもない絶望感。身を切り裂かれるような痛みとともに自分が狂っていく感覚。それらを味わって、この苦しみから逃れたいという一心で目覚めると、私は自分に問いかける。
「私は本当に、伊澄灯(いすみ あかり)なの?」