パッと場面が代わると、今度は教室の中。

真ん中の1番後ろの席に座る“私”に向かって、罵声が飛び交った所だった。

『マジ気持ち悪い!柊さんに謝りなよ!』

よく通る佐々木さんの声が、私の耳にも突き刺さる。

“私”は、唇を噛み締めてずっとうつむいていた。

『なんか言いなよ!柊さんから翔くんとったんでしょ?よくすました顔してここに居れるよね。あり得ない。』

宮澤さんの言葉に、周りにいた生徒たちがざわめき始めた。

『東條さんそんなことするんだ。』
『真面目な顔して最低。』
『柊さん可哀想。』

違う…。違う…。違う…。

届くはずもないのに、必死に否定してしまう。

『なんか言えよ!』

ガッと蹴られた机が“私”のお腹に辺りに当たる。
それでも“私”は泣くこともせずにずっとうつむいて一点を見つめていた。

…確か…この日から私は、いじめられたんだ…。
静香の嘘の供述によって…。

同じクラスだった拓真くんは何を言うわけでもなく。
隣のクラスだった翔くんはその事実を知る訳もなく。
私は残りの卒業までの中学校生活を、壊されたんだ。

まるで早送りをしたかのように流れていく記憶に、私は涙を溢した。

陰口を言われて、物を隠されて、水をかけられて、足をかけられて、時には階段から突き落とされて…。
なんで生きているのだろうと、そう思う日々が続いて、ある時私は…
そうだ…自殺したんだ…。