「っ!」

パアッとまた光に包まれたかと思ったら、私はもとのオモチャの部屋へと引き戻されていた。

「おかえりなさい。手掛かりは掴めましたか?」

バッと後ろを振り返れば、そこには翼の姿があった。

「手掛かり…。候補にあがる人は見付けたかもしれない…。」
「ほう。それは良かった。そうゆうのが大事ですよ。」

「でも……」

殺したいほどに憎いかどうかは分からない。
そこまでのことを、彼女がしたかと言われれば肯定が出来なかった。

そう思った時だった。

「うっ…」

急にキリキリと胃が痛み始める。
な、なに…?

「残り時間21時間13分52秒。」

「え?」

「あと5冊です。続きをお読みにならなくて大丈夫ですか?」

少し困ったように笑う翼に、私は我に返って次の本を探そうと辺りを見渡す。

次に目についたのは、クローゼットだった。

ゆっくりとクローゼットに近付いて扉を開けると、今度は藍色の本があった。
またその本に触れると、優しい光が宿し始める。

「続き…か…。なんだったっけ…?」

思い出したいのに、やっぱり思い出せない。
内心読みたくないと思いながらも、私はゆっくりとその本を開いたのだった。