家の扉を開けて、靴も脱がずに私は廊下を歩いて行く。

そっとリビングの扉を開けて、台所へと歩みを進める。

『あった。』

食器かごの中に入ったままでいたそれを取って、私は自分の部屋へ向かう。


バタンッと扉を閉めて、カチャッと鍵を回した。

扉に背をくつけると、私はそのまま崩れるように座りこんだ。

『…そうだ…。あっちに行ったら、たくさんオモチャ買ってあげるね。』

まだ膨らんでもいないお腹をさすりながら、そう呟く。

『オモチャだらけの部屋に、2人だけで居ようか?その方が幸せかな…?』

ツーッと、頬に冷たい雫が伝っていく。

『はは…怖いね…。死ぬってどんな感じだろう…?』

そっと包丁の刃を自分の方へ向けて、柄の部分を両手で握り締める。

『一緒に…死んでくれる…?』

そんな私の問い掛けに、誰が返事をするわけでもなく。
私はボロボロと涙を溢しながら、勢いよく包丁を振り上げたのだった。