『にん…しん…ですって…?』
『……。』
『子供が…?子供を産むの…?』

目の前の母は信じられないとでも言うように笑った。

『あなた…何言ってるの…?』
『……。』
『相手は?!まさか同級生だなんて言わないでしょうねぇ?!』
『……。』

何も言わない私に、母は大きなため息をつくと頭を抱えた。

『どうするの…?』
『……。』
『いい加減答えなさい…!』

声を荒げて、母は机をバンッと叩いた。

『どうして…あなたはいつもなにも言わないの…?そうやってずっと黙って…。あなたには意思がないの?それを伝える言葉はないの?声はないの…?!』
『………。』
『もういい……。』

そう言って、母は立ち上がると私に背を向けてリビングを出ていってしまった。
遠くの方で、玄関の扉を開ける音が聞こえて、すぐにバタンッと閉まってしまった。

1人取り残された私は、どうすることも出来ずにずっと一点を見つめていた。