「あ……。」
目の前の光景に、絶句した。
線路を挟んだ反対側のホームに、その人たちはいた。
それは、中学校のときによく見ていた光景。
あの頃は特になにも思うことなく、その光景を微笑ましく見ていた。
けど今は……
『あの2人、より戻したみたいだよ。』
聞こえてきた声に、私はハッとして横を見る。
「たく…まくん…。」
拓真くんは目を細めて2人を見つめていた。
『結局は翔は、柊が好きなんだ。だから許してしまった。東條が傷付いたことなんか忘れて、裏切った。』
「っ…」
『アイツにとって彼女は、初めて好きになった相手だから。』
酷く冷たい声が、私の胸に突き刺さる。
もう一度目の前の光景を見て、私は確信した。
笑い合う静香と翔くんは、確かにあの頃と同じだった。
『俺と行こう、桜。』
「っ?!」
また拓真くんの方へ視線を戻せば、彼と私の視線がぶつかった。
「なん…で…」
バッと辺りを見渡すが、先程いたはずの“私”がどこにもいない。
『俺が、ずっと君を守るから。』
優しい声音が耳に響いたのと同時に、ふわりと優しい温もりに包まれる。
「っ?!」
『もう大丈夫だよ。』
「……っ…」
そっと私の頭を撫でる拓真くんに、私は気が付けばギュッと彼の腕を強く掴んでいた。