パアッと光に包まれて、次に見た場面は卒業式だった。
あれ…
あれから私はどうしたのだろうか…。
展開の早さに思考がついていけない。
けれどどんどんと、早送りのように卒業式の映像が流れていく。
そして卒業式が終わったかと思えば、プツンとまるでテレビが消えたかのように目の前の光景が真っ暗になった。
「な…なに…?」
辺りを見渡しても、真っ暗な闇。
「どうゆうこと…?」
そう呟いた時だった。
『お前、2度と東條を傷付けるなよ。』
酷く冷たい声音が、後ろから聞こえてきた。
この声は…
『お前らがやったこと、俺は絶対許さない。罪償うとかそんな理由で東條に近付くな。
お前が視界に入るだけでアイツは傷付くんだ。』
振り返れば、そこにはやはり翔くんがいた。
その目の前には、拓真くんがいる。
これは…私の記憶…?
そう思ったとき、サァッと真っ暗な世界からよく見かけた校舎裏の光景に変わる。
そして物陰に隠れる、“私”の姿があった。
そうか…。
私はたまたま拓真くんと同じ高校になって、翔くんとは離れてしまうんだ。
あれから、翔くんは私を気にかけ休み時間の度に私のクラスに足を運んでくれた。
そんな姿を見て、静香も拓真くんも私に話し掛けて来なくなったのだ。
それから卒業式まで、私は静香とも拓真くんとも、佐々木さんや宮澤さんをはじめ、クラスメートと話をすることはなかった。
『静香は別の高校みたいだから良いけど。絶対に関わんなよ。』
そう言う翔くんに対して、拓真くんは何も言わずにたたずんでいるままだった。
『じゃあ、それだけだから。お前とはもう関わることないから。』
それだけ言って、翔くんは拓真くんに背を向け行ってしまった。
残された拓真くんは、ずっとうつむいたままでいる。
そんな拓真くんの姿を一瞥して、物陰に隠れている“私”は立ち去ろうとした、その時だった。
『俺は諦めないよ。君を守るから。』
ドクンと、胸が脈打つのを感じた
拓真くんを見つめていれば、彼はスッと顔を上げ物陰に隠れている“私”の方へ視線を向けた。
『………。』
そしてすぐに視線を外し、翔くんが去っていった方向へと歩き出したのだった。