「いいから、昨日どこにいたのか言え」
上から目線にかなりムカつくけれど、大樹に告げ口されてはたまらない。

仕方ない。
白状しよう。

「昨日は、少しだけ、ほんの少しだけお酒を飲んでしまって・・・」
「うん」
「マンションに向かう途中で、気分が悪くなって・・・」
「それで?」
「少し公園で休んでいこうと思って・・・」
さすがに最後まで言えなかった。

「バカヤロウッ」
やっぱり叱られた。

いつも冷静な彼だけに、どれだけ怒っているのかが私には分かる。
思わず震えてしまった。

「何考えているんだよ」
「・・・」
「何かあってからでは取り返しがつかないんだぞ」
「・・・」
「女子としての自覚と言うか、危機感がなさ過ぎだろう」
「・・・」
ひたすら俯いていることしか出来ない。

「いいか、これからは飲み会禁止」
ええ?
「無理だよ。付き合いだってあるし」
「お前が言えないなら、俺が断わるから」
そんな・・・

私達の関係は病院内でも秘密なのに、
バレたら騒ぎになるのは目に見えているのに。

「それがイヤなら、俺に黙って飲み会には行くな」
いいなと念を押され、
「はぁい」
渋々、私は頷いた。

目の前のアイスマンはやっと笑顔になり、キッチンへ夕食を取りに行く。

俺様で、自己中で、振り回されてばかりの彼・・・高橋渚。
私達が一緒に暮らし始めて、もう3年目になる。