「樹里亜」
私のミスに付き合う形で夜勤帯まで残ることになった大樹が更衣室の入り口で待っていた。

「どうしたの?」
「・・・大丈夫?」
じっと、顔を覗かれる。
「大丈夫よ」
「無理するな」
がっしりと肩を抱かれ、私達は歩き出した。

「ちょ、ちょっと、見られてるから」
さっきから行き交う人たちの視線が痛い。

「いいじゃないか」
はあ?
「こんな時は兄貴に甘えてろ」
「大樹?」
「送ってやる。車は置いて帰れ」
この時になって、大樹が私を気遣ってくれていることに気づいた。


途中、私のリクエストで回転寿司をごちそうになり、マンションまで送ってもらった。

「ありがとう」
「うん。明日は?迎えに来ようか?」
「うんん。大丈夫。電車で行くから」
「そうか」
大樹はのそれ以上何も言わずに帰っていった。

本当に、本当にいい兄さんだ。