昼休み、病棟から応援に降りて来た渚と救急に呼ばれていた大樹と私の3人で昼食をとった。

メニューは出前のカレー。
渚はあまりカレーが好きではないけれど、救急みんなで出前を取ったため、仕方なくカレーを食べている。

ブブブ ブブブ
「はい、救命科竹浦です」
電話は検査室からだった。

内容は、先ほどの男性患者の血液検査の結果。
それも、かなり悪い。

「どうした?どこから?」
私の顔色が変わったのを感じて、大樹が声をかけた。
「検体検査からなんだけど」
マズイ、どうしよう・・・

「かわって」
横にいた渚がPHSを奪った。
「はい・・・はい。わかりました。ありがとうございました」
検査室からの電話を切って、私のほうを振り返ると、
「患者は?」
「・・・」
「しっかりしろ。早く処置しないと、危ないんだぞ。患者はどこなんだ」
「・・・」

「樹里亜?」
大樹も不思議そうに見ている。

「なんで、検査結果も出ていない患者を帰すんだ。何かあってからでは取り返しがつかないんだぞ」
渚が怒っている。
「まあ、落ち着け。今、連絡とってるから」
大樹は渚をなだめている。

「なんで帰したんだよ」
無表情で冷たい口調。
「レントゲンも心電図も異常がなくて、本人がどうしても帰るって主張したから」
「はあー」
渚があきれている。


幸い、患者と連絡つき検査結果を伝えることができた。
症状も落ち着いていて、仕事が終わとすぐ病院へ戻ってきた。

しかし、その日1日渚は不機嫌なままだった。