「我が家は違います。そんな幸せな家庭ではありません。私にとっては居心地の悪い場所なんです」

吐き捨てるように言った。


家族の誰も私の事なんて心配していない。

私は見捨てられた子。


「それはお前がそう思っているだけ。子供がかわいくない親はいない」


そうかなあ。そんなことない。

フツフツと込み上げてくる怒りに、私は黙っていられなかった。



「私には兄と姉がいるんです」


きっと知っているはず。

うちの兄姉は優秀で、有名だから。


「お前はお前、兄姉は兄姉だろう?」

そんなことは分かっている。


「そのお姉ちゃんは、養女なんです。親戚のおばさんによると父さんと愛人の間にできた子だそうです。両親は否定していますけれど、実際のところは分かりません」


「へー」

先生の表情が「かわいそうに」って言っている。


そう、みんなお姉ちゃんにはそんな顔をする。

それが私には我慢できない。


「どれだけ私が頑張っても、お姉ちゃんにはかなわない。始めからアドバンテージがありすぎるんです」


最近では父さんや母さんまで、お姉ちゃんには気を遣っている。

その態度が、ますます私を苛立たせる。