山口先生のことが気になりながら、私はなんとなく避けていた。

時間がたつにつれて、山口先生のファンも増えていった。


きっと、私のような不良みたいな子なんて相手にしないんだろうなと自分で納得した。



「ちょっと、梨華-」

廊下の先を美穂が走ってくる。


何?

「どうしたの?慌てて」


「た、大変なのよ」

ハアハアと息を切らす美穂。


「何?」


「信吾が、大変なの」

はあ?信吾?



美穂の話によると、体育館裏の窓ガラスが数枚割られているの出勤してきた先生が見つけたらしい。

「何で信吾なの?」

「たまたま近くにいたらしくて」

はあ?

それは言いがかり。


「信吾が犯人って訳ではなくて、先生と言い合いになったらしくて」


「今どこなの?」

とにかく行ってみないと。


信吾は短気だから、大ごとになりかねない。


「体育館」


私は走り出した。