あー、私のせいで・・・

「見てくるよ」
大樹が梨華の後を追った。


しばらくの沈黙の後、
「自分のやったことが分かっているのか?」
父さんに訊かれ、
ただコクンと頷いた。

「仕事を投げ出すなんて、医者としても最低なんだぞ」
うん。
段々と小さくなっていく私。

「もういいでしょう。今日は長い時間の移動だったんです。休ませてやりましょうよ」
助け船を出してくれた母さん。
しかし、父さんがギッと睨んだ。

「大体お前が甘やかすからこんなことになるんだろう」
今度は母さんを責める。

「やめてっ。なんで梨華や母さんに言うのよ」
父さんにたてついたのは初めてかも知れない。
もしかして私も叩かれるのかと思った。
でも、父さんは黙って立ち上がり右手を差し出した。

ええ?

「携帯を出しなさい」

はああ?
この時代携帯なしで生活など出来ないのに、何の冗談かと思っていると、

「携帯を出しなさい」
もう一度言われて、父さんが本気なのだと気付いた。

結局、携帯、カード、パソコンを取り上げられた私。

「しばらくは家でおとなしくしていなさいと」
と言われ、従うことしか出来なかった。