「なあ、樹里亜」
「何?」
「子供は、産むんだよな?」
「うん」
もう迷わないと決めた。
たとえ私1人でも、

「俺たち、親になるんだな」
ええっ。
胸が、ドクンッと鳴った。

「生んでも良いの?」
恐る恐る聞いてしまった。
「当たり前じゃないか。樹里亜の体調が許すなら、生んで欲しい」
渚・・・

私は渚の肩に手をかけた。
そして、ゆっくりと渚が近づいてくる。
お互い正座のまま、唇が重なった。
渚の暖かさが伝わってきて、ああここが私の一番落ち着く場所だと実感した。

「俺、おふくろと話すよ」
静かな声で渚が言い、
「うん。私も家に帰る」
私もそう言った。