二人っきりになったリビング。
渚がなにやら考え込んでいる。

「なあ、樹里亜」
「何?」
「お前は、ここに隠れていたんだよな?」
ええ?
何を突然。

「ここは美樹おばさん家なのよ。逃げてきたのはここだけれど、ここにいたらすぐに見つかるからって、近くの乳児院にお世話になっていたの」
「乳児院?」
「そう。言わなかったっけ?」
渚に連絡をとるようになってからは、日々メールのやりとりをしていた。だから、伝えたと思っていたけれど・・・
なぜだろう、渚が真っ青になっている。
「渚。どうしたの?」

その時、
「こんばんは」
玄関から声がした。

あっ、みのりさんだ。
『仕事が片づいたら、彼氏の顔を見に来るわ』って言っていたから。
私は立ち上がり、玄関に向かった。