その後は、美樹おばさんも渚を気に入ってくれたようで、穏やかに会話が進んだ。

「じゃあ君は、1週間こっちにいるのね?」
「はい。夏休みをまとめて取りましたから」

1週間で答えが出ることではない気もするけれど、渚といられるのは嬉しい。

「よかったらここに泊まりなさい」
ええ?
驚いて見返すと、
「だって、乳児院に男を泊めるわけにはいかないでしょう?」
ああ、確かに。
シェルターにはDVで逃げてきた女性も多いから、渚を泊めるわけにはいかないかも。

「あの、僕は駅前のホテルをとりますから」
渚が口を挟む。
「ダメダメ。もったいないから。ここに泊まりなさい」
美樹おばさんは決定とばかり、渚の荷物を運び出した。

「ああ、あの、美樹おばさんッ」
声をかけるが、おばさんはすでに消えていた。