現在の医療技術は本当に必要だろうか。私たちは、口のきけないミイの意志を尊重することが出来ない。ミイにとって延びた時間が苦しい時間だったのなら、本当に助けるということに意味があったのだろうか。


 あのウサギ小屋や、クジャクやヘビや、たくさんの鳥たち。そして、ミイ。


自然に生きているはずの命たち。本来ならば自分たちで居場所を見つけ、そこに住み、自然にこの世界を去っていく命たち。


 人間の生活は信じられないほど豊かになっただろう。家が出来て、お店が建って、公園ができて、電柱が立って、医療技術が発達した。私たちはそれに当たり前のように甘えて、本来あるべきはずの生命を見落としながら生きている。



 綺麗事だと、自分でもそう思う。自分こそ、人間がすべてを支配したような世界に甘えて生きているくせに、と。ミイの時間を苦しいものにしたくせに、と。



 ただ、ただ、涙を流すことしかできないことを心から悔しく思う。私が今こうして生きているかわりに、消えていった命があることに、涙が出てしょうがないのだ。

 

 ミイは幸せだっただろうか。

一緒に過ごした13年間は無駄じゃなかっただろうか。