「ありがと……」

 自然と溢れ出た涙を指の背で拭った。

「お礼なんていいんだよ」
「でも救われたのは間違いないし」

 わたしの高校からの行動はなんだったのか。サワに憧れ、少しでも近づこうとした。周囲の視線を敢えて無視して、両親にも心配をかけた。でも、この頃が一番幸せだったのもまた事実だ。