見られてたんだと思った。いたたまれなくなって、家を飛び出して、駄菓子屋に行った。もちろん、店は閉まっている時間だ。買い物目的じゃない。多分、わたしはサワに出会った頃に戻りたいと考えていた。小学頃の思い出に浸り、その当時、友達というよりも救世主として憧れていたサワのかけらを探したかった。

「お前はライターなんて持って、その火をジーッと見てた。雰囲気があまりに危なくて、声はかけられなかった。そうしたら突然、お前はライターを捨てて、少しの間、落ちたままついている火を見てて、どうするのかと思ったら、お前は突然、走り出したんだ。追っかけようかと思ったけど、ライターの火がつきっ放しだったから、俺がその火を消したんだ」