テーブルに残されたサワの連絡先。わたしはそのメモにそっと手を伸ばす。

 几帳面なサワの字はやはり懐かしい。授業で分からないところがあると、いつもノートを開いて丁寧に教えてくれた。

 わたしはずっとサワに憧れていた。爽やかでイケメンで、背も高くて、頭もよくて足も速くて――字も綺麗で。

 きっとサワみたいになれれば友達もたくさん出来る。学校生活も充実するし、両親に心配させることもない。

 友達を作ることが出来なかったわたしだからこそ、サワに近づこうと躍起になった。