「谷口君、連絡欲しいって言ってたよ」

 わたしの返事を待たずして、由麻は、鞄から紙切れを取り出して、わたしの手元に置いた。

「これ谷口君の連絡先。以前と変わってるからアヤに教えといて欲しいって言われてるの」

 綺麗な字で住所と携帯番号を書かれていた。間違いない。谷口賢介――サワが直接書いたものだ。

「いい? 今日、必ず谷口君に会いに行ってよね?」

 彼は夕方まで駅前で待っているんだと由麻は言った。