駅から高校に行く道すがらに警察署がある。その前で立ち止まり、何度、中に入ろうとしたか分からない。

 しかし、勇気が持てなかった。足が微塵も言うことを聞いてはくれなかったのだ。情けなくてその度に涙した。涙を流した分、ぼくはさらに臆病になった。

 逃げ出したい。逃げ出したい。事実から目をそらしたい。罪の意識は幾度も幾度もぼくを踏切の中へ、ビルの屋上へ――つまりはこの世から逃げる方向へ、ぼくを誘《いざな》おうとする。

 しかしその力が中途半端故に成就はしない。ぼくは生きてることに安堵し、そして悲しみに襲われた。