高校生活が始まった。通う学校が変わり、クラスメイトの顔ぶれも変わった。元々引っ込み思案の性格は健在で、ほくは誰とも混ざろうとはしなかった。

 そもそも僕は生きていていいのだろうか。火事のあったあの晩からずっと続いている自問だ。

 今でも目を閉じると、揺らめく炎がまるで大蛇のようにのたうちまわっている様が瞼の裏に蘇る。何層にも赤や黄色の襞が重なり、右へ左へ動き回る炎は、やがて駄菓子屋を呑み込もうとする。そんな夢を見て、目を覚ました夜は数え切れない。