家に入ると、ぼくはくずおれるように自分のベッドに倒れ込んだ。布団の奥深くに頭を突っ込み、固く固く瞼を閉じた。

 駄菓子屋が火事になったのは、その晩のことだ。ニ階に吉田のお婆ちゃんも住んでいて、その火事に巻き込まれて死んでしまった。

 ――大丈夫じゃなかった。

 地面に落ちたジッポライターを、せめて足で蹴飛ばしてでも店から離しておくべきだった。人を呼んででも消し方を聞くべきだった。家に帰ってからでも、やはり店に戻るべきだった。あれをしておけばこれをしておけばと頭の中で浮かぶ選択肢の多さにぼくは潰されそうになった。

 でも――遅い。どれだけ後悔したところで時間は戻せないし、戻らない。

 消防だけでなく、警察も現場に入ったが、火事の原因は突き止められなかったと噂に聞いた。警察がぼくのところに訪れることも――なかった。