果たして何度めだろうか。突然、着火したのだ。

 驚いて指を離したが、使い捨てライターとは違う。火は消えることなく、しばらくの間、ぼくは揺れる火をジッと眺めていた。

「……燃えてしまえばいいのに」

 ぼくはそうつぶやいていた。物騒ではあるが、それこそが無意識故の本心だ。

 サワと由麻は本当にお似合いの二人だった。背後から見た二人の背のバランスも、初々しさの残った着かず離れずの絶妙な距離感も、時折見せる由麻の笑みさえも非の打ち所がなかった。