「いらない。食欲ない」
「明日、卒業式だから緊張してるの?」

 暢気な母親の笑顔が今はただただ鬱陶しい。

「そんなんじゃないよ。それよりコンビニ行ってくる」
「もう遅い時間よ」
「すぐ戻るから大丈夫」

 まだ背後で母親が何やら言っていたが、ぼくはそのまま家を出た。