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 目覚めると既に周囲は暗くなっていた。どれくらい寝てしまっていたのだろう。手探りで枕元にある携帯を掴み、その画面を開いた。

 夜の9時を回っていた。随分長いこと寝ていたのに、体を起こした瞬間から、昼間の光景が脳裏に蘇った。正門から追い続けたサワの背中。コンビニに入っていく瞬間も、アイスクリームのカップを持って外に出てくる瞬間も、ぼくはサワの背中ばかりを見ていた。

 顔を見ることを意図的に避けたのだろう。由麻を見るサワの顔を見たくなかったから。