そこでもまだぼくは踏ん切りをつけることができなかった。

 コンビニの斜向かいに町の本屋があるのが目に入ると、道路に面してる棚の前に立ち、ぼくは立ち読みをするフリをして適当な雑誌を手に取った。

 5分ほどして二人が店の外に出てきた。手にはアイスのカップ。由麻がコンビニの窓を背に立ち、サワは対面する位置に立った。つまりはぼくからはサワの背中しか見えず、サワがどんな表情で由麻と話しているのかは分からない。しかし、時折、サワの背中越しに見える由麻の顔が弾けるような笑顔を浮かべているのを見て、自ずとサワの笑顔を思い出していた。