サワは下駄箱で靴を履き替え、正門に向かっていた。ぼくの知る限りサワはあまり寄り道はしない。おそらくはサワは普段通りに自宅への道をトレースするという確信もあった。

 しかし、ぼくの予想は早くも覆された。サワがまさに正門を通り抜けようかという時に、門に背中を預け、サワに手を振る女子生徒の姿があったのだ。

 女子生徒の顔を見て、驚愕し、同時にぼくは納得した。

 そこに立っていたのは――伊藤由麻だった。