授業が終わり、教室を出たぼくは先を歩くサワの背中を見つけてしまった。背が高く、華奢なイメージが強いのに、改めてみれば想像より広い背中に男子を感じさせる。

 声をかけるつもりはなかった。今更冷たくあしらわれたくないし、そこまではなくても、以前の唯一無二の親友としてのサワと向き合えるとは思えなかったからだ。

 いっそのことサワという存在自体をなかったことにすればいいのに、そこまで割り切ることもできず、気づけば、ただただストーカーのごとくぼくはサワの後を追っていた。