別れが決まったからといって、普段の学校生活が変わるわけではない。サワとは表面上はいつも通りだ。学校が終わったら待ち合わせて一緒に帰る。教室では相変わらず由麻の姿を目で追ってしまっていたが、その名前には一切触れていない。

「サワ、第二ボタンどうするの?」

 いよいよ卒業の空気が教室にも漂い始めていた。下校途中、そんな話をしていた。

「どうって?」
「卒業式の時、サワの前に女子生徒が群がると思うよ。整理券でも配る? 抽選っていうのもいいかもね」