「前の彼と分かれてから誰とも付き合ってないもん。話すことなんてなにもないよ。それより話そらさないで、ちゃんと聞いてよ。谷口君と、昨日、会ったんだ」

 駅前で、ホントにバッタリ。仰々しいアクビの表情。綺麗だけど、今だけは忌々しい。

「他県の大学に通ってるんじゃなかったっけ?」

 耳にした噂だと、東京の大学に通っていると聞いていた。新幹線に乗れば日帰り出来る距離だけど、だからといって決して近いわけではない。