「ねぇねぇ、アヤ。最近、谷口君とは連絡取ってないの?」

 アヤ。わたしの名前だ。正確にはアヤナと言う。

「谷口君?」

 その名前を耳にした途端、口の中に苦いものが広がった。

「そう。谷口健介だよ。中学の時、仲良しだったでしょ?」

 胸を鷲掴みにされたかのような息苦しさに、顔が歪みそうになるのを、何とかごまかす。