「……何さ」

 負けじとわたしも立ち上がった。

 背の高い由麻の顔はわたしの視線より少し上にある。少し見上げるように、でも睨みつけるのを諦めない。

 殴られるんだと思った。女同士でファミレスで殴り合いってどうなのさと思いつつも、逃げるわけにはいかない。意地と意地のぶつかり合いに、男も女も関係ない。

 由麻の体が動いたかと思い、反射的に目をつむった。でも、痛みは襲ってこなかった。代わりに体を包み込む軽い衝撃があり、恐る恐る目を開ければ、わたしは由麻に抱きしめられていた。