それなのに釈然としない。別段、サワがずっと嘘をついていたわけではない。わたしが勝手にそうだと決めつけ、そのまま思い込んでいただけのこと。サワの秘密を聞き、うまく消化できないからといって、サワに八つ当たりしていいわけじなゃない。

 サワと結ばれることはなかったが、最後の最後にまたわたしはサワに救われた。駄菓子屋を焼き、吉田のお婆ちゃんの命を奪ったという罪悪感から見事に解放されたのだ。今日、サワに会った意味はあったのだ。それで納得することにした。