「分かんないかなぁ。中高といつも一緒にいたからてっきり薄々は勘づいてるのかと思ってたんだけどな」

 いいか。聞け。サワが少ししゃがんでわたしと目線を合わせる。ゴクリ。緊張のあまりつばを飲む。

「俺はゲイだ」

 ――ゲイ。頭が真っ白になった。

 ゲイとは何だ? いや、言葉くらい知っている。意味も一応理解はしているつもりだ。同性が恋愛対象である男性のことをさす――はず。でもそれだと、わたしではその土俵にすら上がれないということになる。