前のスマホが事故でやられているのなら、ストラップもそのときに破損してしまったのか、はたまた花穂の両親が持っているのか。

 この感じだと、少なくとも今の花穂の目に届く範囲には、もう兄ちゃんとお揃いで買ったストラップはないのだろう。


「“僕”とお揃いで買うのは初めてだよ」


 最初こそ本当のことを素直にこたえそうになったものの、次の瞬間には、僕はそんな風に口走っていた。

 言い訳をするなら、僕が花穂の言葉を肯定しようとしたところで、花穂がすごく辛そうな瞳をしたように見えたから。


「花穂がこういうの好きかなって思って」


 兄ちゃんのことを思い出してほしいなら、ここは否が応でも本当のことを言うべきだったのだろう。

 そんな僕に対して罰が当たったのだろうか。

 花穂がぎこちなく首をかしげた。


「……え? そうなの……?」

 何かに戸惑うように、でも自分ですら何に戸惑っているかわからないといった様子だった。


「だって、確かリョウちゃん。エメラルドグリーンのスマホに……」

 ハッとするように、花穂は僕のスマホに視線を移す。


「あれ? 青色? リョウちゃんのスマホって……」

 一方で僕は、僕のスマホを戸惑うように見る花穂の姿に困惑していた。