そんな自分を情けなく思いながら、落ち込んでいる僕に苦笑しながら手を差し伸べてくれた母には感謝しかない

 弁当のメニューだけ聞いて、兄ちゃんの初デートの弁当と同じだと泣きながら言い当てたのだから、母さんはすごい。

 だから名目上、僕が作ったことにして花穂の前に出させてもらうけれど、ほぼ九割方母親任せだ。

 母さんには申し訳ないことをしてしまったが、本当に感謝してる。

 味の方も、兄ちゃんの料理はほとんど母親の味を受け継いでる感じではあったので、兄ちゃんの料理とさほど変わらないだろう。


 兄ちゃんの日記によると、兄ちゃんは弁当の蓋を皿替わりにしておかずを取って花穂に渡したらしい。

 だから、僕も同じようにおかずを取って花穂に渡す。

 兄ちゃんが何を乗せて花穂に出してあげたのかまではわからないから、ここは僕が適当に選ばせてもらった。

 いくら事細かに書かれた兄ちゃんの日記を見つけたとはいえ、全てが書き記されているわけでもない。さすがにそんなに細かいところまで再現するのには限界があるから、そこは許してもらおう。


 花穂はまず卵焼きに箸をつけて一口かじると、美味しいと微笑んだ。

「……良かった」