入学時に今年度のを配られたまま、使い道がわからずに僕の生徒手帳は本棚の隅で新品同様のまま静かに寝息を立てている。
イマイチ使い道のわからない生徒手帳を、兄ちゃんは使っていたのだろうか?
ふと、そんな疑問から僕は二冊並ぶうちのひとつ──今年度の生徒手帳を取り出した。
「──え?」
意外だった。
生徒手帳は見開きで一週間分の書き込みができるようなレイアウトになっている。兄ちゃんのものには毎日ではないものの、ところどころにその日の日記が書かれているようだった。
例えば、四月の入学式のあった日には、『将太が入学してきた。同じ学校に通う先輩として将太の力になりたい』と書いてあった。何ならその前日のクラス分け発表の日の欄には『今年は花穂とクラスが離れた。いつでも会えるとはいえ、やっぱり同じクラスがよかった』とある。
つまり、まさか兄ちゃんは毎日じゃないにせよ、この生徒手帳に日記を書き込んでいた──?
僕は慌てて、もう一冊の生徒手帳を棚から引っ張り出す。
昨年度のものだ。
すると案の定、花穂と付き合い始めた日や何なら去年の天文学部の合宿のことまで、しっかりと兄ちゃんの言葉で書き記されていた。
どうやら兄ちゃんは、何か兄ちゃんにとってのイベント事があった日は、生徒手帳にその出来事や気持ちを綴っていたようだ。
イマイチ使い道のわからない生徒手帳を、兄ちゃんは使っていたのだろうか?
ふと、そんな疑問から僕は二冊並ぶうちのひとつ──今年度の生徒手帳を取り出した。
「──え?」
意外だった。
生徒手帳は見開きで一週間分の書き込みができるようなレイアウトになっている。兄ちゃんのものには毎日ではないものの、ところどころにその日の日記が書かれているようだった。
例えば、四月の入学式のあった日には、『将太が入学してきた。同じ学校に通う先輩として将太の力になりたい』と書いてあった。何ならその前日のクラス分け発表の日の欄には『今年は花穂とクラスが離れた。いつでも会えるとはいえ、やっぱり同じクラスがよかった』とある。
つまり、まさか兄ちゃんは毎日じゃないにせよ、この生徒手帳に日記を書き込んでいた──?
僕は慌てて、もう一冊の生徒手帳を棚から引っ張り出す。
昨年度のものだ。
すると案の定、花穂と付き合い始めた日や何なら去年の天文学部の合宿のことまで、しっかりと兄ちゃんの言葉で書き記されていた。
どうやら兄ちゃんは、何か兄ちゃんにとってのイベント事があった日は、生徒手帳にその出来事や気持ちを綴っていたようだ。