そうは言われても心配は拭いきれない。だけど花穂自身も大丈夫と言っているから、僕たちは合宿参加を続行させてもらうことにしたのだ。

 倒れた花穂は、バーベキューを始めた頃からの記憶は一切残ってないようだったから、あのとき、花穂が何を考えていたのか知る術はない。

 だけど、タイミングがタイミングだっただけに、過去を再現してみたことによる影響なのかと想像してしまう。


「何だよ、黙りこんで。そういや、昨夜は見せつけてくれたなー。高原のど真ん中で抱き合ってさー」

「あ、あれは……っ!」

「何だよ、事実だろ」


 そう言われると、何も言い返せない。

 でも、バーベキューのときに花穂の中で何が起こったのかわからないけど、あのときを境に花穂の様子が変わったのは確かだ。

 まるで花穂の言う“リョウちゃん”が儚く消えてしまう存在であるかのように、切羽詰まったように僕に訴えかけて来た花穂を思い返す。


 それだけじゃない。

 さそり座の説明をしたとき、何気なく本当のこと──僕自身がさそり座であることを言ってしまったが、花穂は僕が春生まれのイメージだと言ってきた。

 一見何の問題もないように見える会話だが、あろうことか、兄ちゃんは春生まれだ。

 偶然なのか、花穂が何かを感じて言った言葉なのか、真相はわからない。