それなのに、私のせいでリョウちゃんが天体観測に行けなくなるなんてことになれば、迷惑もいいところだ。

 そうはなりたくたい。

 しばらくリョウちゃんは眉を寄せて私のことを見ていたけど、やがて視線を落として小さく息を吐き出した。


「……わかったよ。もし、また調子が悪くなりそうなら言ってね」


 天体観測が行われる場所は、お昼のバーベキューをしたところにある芝生の広場らしい。

 先生にお礼を言ったあと、すぐにでも合宿に戻りたかった。

 だけど、心配だからと言うリョウちゃんに付き添われて、結局オレンジ色の西陽が差し込むまで、私はこのベッドの上で休ませてもらうことになったのだった。


 夕刻になり、芝生の広場に出る。すると、すでに望遠鏡が三体設置されて、部員がレンズを覗いては調整をしているようだった。


「柏木くん、彼女、大丈夫だったの?」

 調整が終わった望遠鏡のそばにいた部員の一人が、私に気づいて目を丸くする。


「ええ。とりあえず大丈夫みたいです」


 リョウちゃんとともに、声をかけてくれた部員さんのそばに寄ると、「覗いてみる?」と声をかけられる。


「いいんですか?」

「いいよ。あそこに見える金色の星あるでしょ? 金星なんだけど、今それに合わせてるから」

 促されるがままに、私は望遠鏡を覗いた。