すると、それに気づいたリョウちゃんはこちらを見て、困ったようにはにかんだ。


「しっかり火が通ってる証拠なんだろうけど、熱いな、これ」

「でも、美味しい」

「ああ」


 熱々のバーベキューに甘辛いタレが絡み、さらにはみんなで作ったということも、バーベキューの旨みを引き立たせているように思った。

 熱いけれど、冷めないうちにと二本目のバーベキュー串を手にしようとしたとき、不意にリョウちゃんに呼ばれた。


「……花穂」

 ついつい食べるのに夢中になってしまっていたから、恥ずかしい……。


「あ、ごめんね。どうしたの?」

「いや、その……」


 リョウちゃんは、私の方を見ながらズボンのポケットからブルーのタオルを取り出して、それを私の頬に当てる。

 瞬間、ドクンと私の全身が脈打った。


「……え?」

 何だろう、この感覚。


「ここ、ついてる……」

 リョウちゃんは、私の頬を撫でるようにブルーのタオルで拭って、また離れていく。

 何かが脳内を駆け抜けた気がした。


 前にも確か、こんなことあった気がする……。

 去年も参加したって聞いてたし、去年の合宿?

 それとも、別の記憶?

 でも、何でだろう。

 何かが違う気がするんだ。

 だけど、その何かを思い出そうとすると、途端に頭痛に襲われた。