去年も私が天文学部の合宿に飛び入り参加させてもらったことは、私が天文学部の合宿に一緒に行っていいか母親に相談した夜、居間で話している両親の会話を偶然聞いてしまって知ったことだ。
お父さんと相談してからね、と母親に言われて、気になって父親が帰ってきたあとにこっそり居間を見に行ったときのことだった。
リョウちゃんから聞いたことではなかったから、もしかしたらリョウちゃんは私が過去のことを思い出したんじゃないかって、変な期待をさせてしまったのかもしれない。
「あ、偶然両親がその話をしてるのを聞いちゃって……。ごめんね」
私から見ても、リョウちゃんの肩の力が抜けたのがわかった。
リョウちゃんの反応からも、きっと私の想像は間違っていないのだろう。
また私はこの人を悲しませてしまったのだろうか。
押し寄せる罪悪感と何も思い出せない腹立たしさに、自分自身を責めていると、私の頭はふわりと大きな手の温もりに包まれる。
「気にしないで。合宿に行っている間に何か思い出せるかもしれないんだし」
「うん……」
リョウちゃんは優しい。
でも、どこか寂しげな瞳の奥に彼の本心が隠れているような気がして、私はその優しさに甘えすぎてはいけないんだって思う。
そんなリョウちゃんの手を私はぎゅっと握った。
リョウちゃんも少し驚いたような表情をしたあとに、優しく握り返してくれた。
お父さんと相談してからね、と母親に言われて、気になって父親が帰ってきたあとにこっそり居間を見に行ったときのことだった。
リョウちゃんから聞いたことではなかったから、もしかしたらリョウちゃんは私が過去のことを思い出したんじゃないかって、変な期待をさせてしまったのかもしれない。
「あ、偶然両親がその話をしてるのを聞いちゃって……。ごめんね」
私から見ても、リョウちゃんの肩の力が抜けたのがわかった。
リョウちゃんの反応からも、きっと私の想像は間違っていないのだろう。
また私はこの人を悲しませてしまったのだろうか。
押し寄せる罪悪感と何も思い出せない腹立たしさに、自分自身を責めていると、私の頭はふわりと大きな手の温もりに包まれる。
「気にしないで。合宿に行っている間に何か思い出せるかもしれないんだし」
「うん……」
リョウちゃんは優しい。
でも、どこか寂しげな瞳の奥に彼の本心が隠れているような気がして、私はその優しさに甘えすぎてはいけないんだって思う。
そんなリョウちゃんの手を私はぎゅっと握った。
リョウちゃんも少し驚いたような表情をしたあとに、優しく握り返してくれた。