春に新しいクラスで撮ったという、クラスの集合写真を眺めるけれど、誰一人思い出せない。
唯一わかるのは、去年のクラスの集合写真に写るリョウちゃんだけだ。
そうは言っても、リョウちゃんのことでさえ、漠然としている。
リョウちゃんは私と幼なじみで付き合っていたんだと教えてくれた。けれど、私は彼とどんな幼少期を過ごしてどんな風に付き合っていたのか、全く覚えていない。
どうして彼のことだけはわかったのか最初はわからなかったけど、リョウちゃんの話を聞いたら何となく察しがついた。
リョウちゃんが私のことを大切に思ってくれていることは、私の記憶が戻るように協力してくれてるところからも、すごくわかる。
だからこそ、何も思い出せない自分がもどかしくて辛い。リョウちゃんに申し訳ない。
リョウちゃんはそんな私に優しくて、かっこよくて、昔の思い出がなくても私は惹かれていた。
だけどそんな彼のことを思い出そうとすると、なぜか彼がどこか手の届かないくらい遠くへ行ってしまうような気がして怖かった。
思い出したいのに、怖い。
何か大切なことを忘れているような気がするのに、それが怖いんだ。
「……穂。花穂、大丈夫?」
「あ、ごめんなさい……」
唯一わかるのは、去年のクラスの集合写真に写るリョウちゃんだけだ。
そうは言っても、リョウちゃんのことでさえ、漠然としている。
リョウちゃんは私と幼なじみで付き合っていたんだと教えてくれた。けれど、私は彼とどんな幼少期を過ごしてどんな風に付き合っていたのか、全く覚えていない。
どうして彼のことだけはわかったのか最初はわからなかったけど、リョウちゃんの話を聞いたら何となく察しがついた。
リョウちゃんが私のことを大切に思ってくれていることは、私の記憶が戻るように協力してくれてるところからも、すごくわかる。
だからこそ、何も思い出せない自分がもどかしくて辛い。リョウちゃんに申し訳ない。
リョウちゃんはそんな私に優しくて、かっこよくて、昔の思い出がなくても私は惹かれていた。
だけどそんな彼のことを思い出そうとすると、なぜか彼がどこか手の届かないくらい遠くへ行ってしまうような気がして怖かった。
思い出したいのに、怖い。
何か大切なことを忘れているような気がするのに、それが怖いんだ。
「……穂。花穂、大丈夫?」
「あ、ごめんなさい……」