兄ちゃんの命を奪った事故の日、花穂も事故に巻き込まれたこと。ここまでは、夏休み前に学校内でもウワサになっていたから、知っているだろう。
この事故で花穂は命に別状はなく、目立った外傷もなかったが、事故のショックで記憶が消えてしまった。
そんな花穂が唯一覚えているのが、思い出まで思い出せないものの、彼女には柏木涼太という大切な人がいたということだった。
今、花穂の中では僕=柏木涼太という認識になっているために僕は兄ちゃんの格好をして、一緒になって花穂の記憶が戻るきっかけを探してまわっていることを順を追って説明した。
「なるほど、そういうことね」
園田先輩は僕のつたない説明にも、うんうんと納得してくれたようだ。
物わかりのすごくいい先輩で、助かった。
「それにしても、将太と涼太ってこうして見るとすっごい似てたんだな。今まで気づかなかったわ」
「まぁ日頃はあまり似すぎてると、その、兄と比べられてしまうので……」
「何だそれ。そんなに涼太に劣等感抱かなくても、将太も充分イケメンじゃん」
誰も顔のことを言ってるわけではないのだが、今、問題にしているのはこのことではないので軽く受け流すことにする。
「でも大変だな、梶原さんのこと。そうやって記憶探しの旅を二人でしてさ、何か進歩はあったわけ?」
「今、そこの桜を見て初めて大きく反応しました。兄ちゃん……兄が彼女に告白したのがこの木の下だったんです」
「そうか」
そして、園田先輩は何かをひらめいたように大きく目を見開いた。
この事故で花穂は命に別状はなく、目立った外傷もなかったが、事故のショックで記憶が消えてしまった。
そんな花穂が唯一覚えているのが、思い出まで思い出せないものの、彼女には柏木涼太という大切な人がいたということだった。
今、花穂の中では僕=柏木涼太という認識になっているために僕は兄ちゃんの格好をして、一緒になって花穂の記憶が戻るきっかけを探してまわっていることを順を追って説明した。
「なるほど、そういうことね」
園田先輩は僕のつたない説明にも、うんうんと納得してくれたようだ。
物わかりのすごくいい先輩で、助かった。
「それにしても、将太と涼太ってこうして見るとすっごい似てたんだな。今まで気づかなかったわ」
「まぁ日頃はあまり似すぎてると、その、兄と比べられてしまうので……」
「何だそれ。そんなに涼太に劣等感抱かなくても、将太も充分イケメンじゃん」
誰も顔のことを言ってるわけではないのだが、今、問題にしているのはこのことではないので軽く受け流すことにする。
「でも大変だな、梶原さんのこと。そうやって記憶探しの旅を二人でしてさ、何か進歩はあったわけ?」
「今、そこの桜を見て初めて大きく反応しました。兄ちゃん……兄が彼女に告白したのがこの木の下だったんです」
「そうか」
そして、園田先輩は何かをひらめいたように大きく目を見開いた。