今更、後戻りなんてできるわけがない。
弱い自分を心の中で叱咤する。
そして、そろそろ他の場所に移動するか花穂にたずねようと口を開いたときだった。
「じゃあ、そろそろ……」
「……え? 涼太?」
遠くから兄ちゃんの名前を呼ぶ、男の人の声が聞こえた。
まずい……!
慌てて振り向くと、校則的にOKなのかと思ってしまうような少し長めの茶髪の男子生徒がこちらを見て大きく目を開いている。
ワイシャツのボタンも第三ボタンまで開けて、制服のズボンをわざとにずらしてはいている。いわゆるやんちゃそうなこの人のことは、僕も知っている。
──園田修平。兄ちゃんと同じ二年生で、兄ちゃんと同じ部活──天文学部の部長であり、兄ちゃんの友達だ。
「へ? お前、死んだんじゃなかったの?」
そんなとんでもないことを言う園田先輩の口を慌てて塞ぐ。
花穂にも恐らく聞こえてしまっていたとは思う。だけど、幸いにも園田先輩のジョークだと思ったのか、あまり今の言葉にピンとは来ていないようだ。
弱い自分を心の中で叱咤する。
そして、そろそろ他の場所に移動するか花穂にたずねようと口を開いたときだった。
「じゃあ、そろそろ……」
「……え? 涼太?」
遠くから兄ちゃんの名前を呼ぶ、男の人の声が聞こえた。
まずい……!
慌てて振り向くと、校則的にOKなのかと思ってしまうような少し長めの茶髪の男子生徒がこちらを見て大きく目を開いている。
ワイシャツのボタンも第三ボタンまで開けて、制服のズボンをわざとにずらしてはいている。いわゆるやんちゃそうなこの人のことは、僕も知っている。
──園田修平。兄ちゃんと同じ二年生で、兄ちゃんと同じ部活──天文学部の部長であり、兄ちゃんの友達だ。
「へ? お前、死んだんじゃなかったの?」
そんなとんでもないことを言う園田先輩の口を慌てて塞ぐ。
花穂にも恐らく聞こえてしまっていたとは思う。だけど、幸いにも園田先輩のジョークだと思ったのか、あまり今の言葉にピンとは来ていないようだ。