今日は、僕たちの通う高校まで足を伸ばすことにした。
これまでの小学校や中学校よりも少し遠出になるため、花穂の身体が少し心配だ。
けれど、事故現場以上のインパクトなんてないけれど、ここは直近の思い出が一番詰まっているところだし、少し期待しているところはある。
僕は、学校の制服の白いカッターシャツの襟を整えて、鏡に映る自分の姿を兄ちゃんのものへと変えてから、家をあとにした。
高校までは、花穂を自宅まで迎えに行くと、近くの駅から五駅ほど普通電車に乗って移動した。
電車で横並びに座っていると、同じ高校の制服を着た花穂の手が僕の手に触れる。
花穂は時々、こうして僕の手を握ってくる。
僕と手を繋いでいると安心できるのだそうだ。
花穂の方へ視線を向けると、物憂げな表情で視線を落としている。
きっと不安なのだろう。記憶をなくす前の花穂にとって、馴染みの深い場所に向かっているから。
これまでほとんどと言っていいほど、花穂は何も思い出せていない。
今日も何も思い出せなかったらどうしようとか、そもそも思い出すこと自体怖いとか考えてしまっているのかもしれない。
これまでの小学校や中学校よりも少し遠出になるため、花穂の身体が少し心配だ。
けれど、事故現場以上のインパクトなんてないけれど、ここは直近の思い出が一番詰まっているところだし、少し期待しているところはある。
僕は、学校の制服の白いカッターシャツの襟を整えて、鏡に映る自分の姿を兄ちゃんのものへと変えてから、家をあとにした。
高校までは、花穂を自宅まで迎えに行くと、近くの駅から五駅ほど普通電車に乗って移動した。
電車で横並びに座っていると、同じ高校の制服を着た花穂の手が僕の手に触れる。
花穂は時々、こうして僕の手を握ってくる。
僕と手を繋いでいると安心できるのだそうだ。
花穂の方へ視線を向けると、物憂げな表情で視線を落としている。
きっと不安なのだろう。記憶をなくす前の花穂にとって、馴染みの深い場所に向かっているから。
これまでほとんどと言っていいほど、花穂は何も思い出せていない。
今日も何も思い出せなかったらどうしようとか、そもそも思い出すこと自体怖いとか考えてしまっているのかもしれない。